A解説

CAN-SLIMを学ぶ / A

一度の好決算だけで、本当に成長株?

Aは「Annual Earnings Growth」。直近だけでなく、年間で利益を伸ばし続けているかを見る項目です。Cで勢いを感じたら、次は「その強さ、前から続いている?」を確かめます。

ある四半期だけ、とんでもなく良い決算。

それはもちろん魅力的です。でも、たまたま大きな案件が入っただけかもしれません。

「去年も、その前も伸びている?」
「3年で見ると、ちゃんと成長している?」
「利益を生み出す力そのものは強い?」

Aでは、短距離走ではなく企業の持久力を見るイメージです。

Aの基本

CAN-SLIMのAは、長く続く利益成長を見る

AはAnnual Earnings Increases。Cが直近四半期の勢いを見るのに対して、Aではその企業が年間ベースでも利益を積み上げてきたかを確認します。

CAN-SLIMが探そうとしているのは、たまたま1回だけ好決算を出した会社ではありません。直近の強い成長の後ろに、数年にわたる利益成長の土台がある企業です。

Cで「いま伸びている」を確認し、Aで「これまでも伸びてきた」を確認する。
この2つがそろうことで、直近の好業績により説得力が出てきます。

CAN-SLIMの目安

年間EPSは「3年連続」と「高い成長率」がポイント

オニールは、年間EPSが過去3年連続で増加している企業を重視しています。途中でEPSが落ち込み、その翌年だけ急回復した企業よりも、利益を継続して積み上げている企業を選ぶ考え方です。

旧記事でも、年間EPSの増加率は25%以上をひとつの目安として紹介していました。さらに、大きく株価が上昇した企業では、上昇前の数年間に高い年間EPS成長を示しているケースが多いという考え方を紹介しています。

ただし、毎年まったく同じ成長率で伸びる必要はありません。成長率が一時的に鈍っても、その後に再び高い成長へ戻れるかを見ることもポイントです。

年間EPSを見る

1年だけではなく、伸び続けているか

旧ブログでもAで最初に見ていたのは、年間EPSの伸びでした。

たとえば今年のEPSが大きく伸びていても、その前の年が大幅減益なら、まだ「安定した成長」とは言いにくい。逆に、毎年少しずつでもEPSが積み上がっていれば、企業の成長に再現性がある可能性が高まります。

AS WINDメモ 昔から「何年続いているか」をかなり重視していました。

実際の銘柄分析でも、年間EPSが3年連続で増えているかをひとつの確認材料にしていました。

3年で見る

1年の伸びより、3年の流れを見ると景色が変わる

1年だけを見ると、前年が悪かった反動で大きく伸びているように見えることがあります。

そこで大切になるのが、複数年で見た成長です。

3年間でEPSがどのくらい伸びてきたかを見ると、その会社が一時的に良かったのか、それとも成長を積み重ねてきたのかが見えやすくなります。

単年の「伸びた!」より、複数年の「伸び続けている」。
この違いがAのポイントです。

売上も見る

利益だけ伸びて、売上は止まっていないか

Aでも売上の成長は大切です。

利益率の改善やコスト削減でEPSが伸びることはあります。それはもちろん良いことですが、成長企業としてより期待したいのは、売上そのものも継続して伸びている状態です。

売上と利益の両方が数年にわたって伸びている企業は、事業そのものが拡大している可能性が高くなります。

ROEを見る

稼いだ利益だけでなく、「稼ぐ力」も見る

旧サイトの銘柄分析では、年間利益と一緒にROEも確認していました。

ROEは、株主から預かった資本を使って、どれくらい効率よく利益を生み出しているかを見る指標です。

CAN-SLIMではROEも企業の質を見る重要な材料で、旧記事では17%以上がひとつの目安として紹介されています。

利益額が大きくても、たくさんの資本を使わないと稼げない会社と、少ない資本で効率よく稼ぐ会社では中身が違います。

AS WINDメモ 旧サイトではROEを成長企業の質を見る重要な材料として使っていました。

今もAの評価項目として残しているのは、その考え方が今でも有効だと思っているからです。

利益率の流れを見る

売上が増えても、利益が残らなくなっていないか

売上が伸びているのに利益率が毎年悪化しているなら、競争激化やコスト上昇など、成長の質に変化が起きているかもしれません。

逆に、売上を伸ばしながら利益率も改善している会社は、事業が大きくなるほど収益力も強くなっている可能性があります。

Aでは、利益の「量」だけでなく、利益を生み出す構造そのものが良くなっているかも見ていきます。

利益の質を見る

利益が出ていても、現金は残っている?

旧A記事では、年間EPSやROEに加えてキャッシュフローにも触れていました。会計上の利益が伸びていても、事業から十分な現金を生み出せていない場合があります。

大きく成長する企業の中には、フリーキャッシュフローが純利益を上回るほど強い現金創出力を持つケースもあります。

Aでは「利益が増えた」という結果だけではなく、その利益に質があるかという視点も持っておくと、企業を見る目が一段深くなります。

若い企業を見る

上場したばかりなら、3年分の数字がない

CAN-SLIMでは、上場したばかりで3年間の年間EPSを確認できない企業を、単純に対象外にするわけではありません。

旧記事では、こうした新興企業について直近5〜6四半期のEPSを確認するという考え方を紹介していました。長い履歴がないなら、確認できる期間の成長を丁寧に見るわけです。

大切なのは「データが少ない」と「成長していない」を同じ意味にしないことです。

赤字からの成長

若い会社は、きれいな3年成長にならないこともある

成長企業の中には、上場して間もなかったり、過去に赤字だったりして、3年分のきれいな成長履歴がそろわない会社もあります。

だから「3年そろっていないから全部ダメ」と機械的に切ると、これから伸びる若い企業を見逃すことがあります。

大事なのは、データが少ないことと、成長していないことを同じにしないこと。確認できないものは未評価として扱い、確認できる成長の流れを丁寧に見ます。

今の分析方法

CAN-SLIMのAを、6つの視点に整理する

ここまでがCAN-SLIMにおけるAの基本的な考え方です。私の手法では、日本株で継続して確認しやすいよう、現在は年間成長を次の6項目に整理して評価しています。

1最新年度EPS成長率
23年間EPS成長
3連続EPS成長
4売上高CAGR
5ROE
6年間利益率トレンド

細かな数字を全部覚える必要はありません。まずは「この会社は、数年かけて利益を積み上げてきたか。そしてその成長には質があるか」と考えると、Aの見方が分かりやすくなります。

NEXT

成長している。でも、なぜ今ここから伸びる?

Cで直近の勢い、Aで長期の成長を確認しました。

次に気になるのは、「この会社には、これから株価をもう一段押し上げる何か新しいものがある?」ということ。

そこで登場するのがN ― Newです。次は、新製品・新事業・新しい戦略など、企業を変える「新しさ」を見ていきます。

※本ページは、旧記事「『CAN-SLIM』のA(Annual Earnings Increases) -年間利益の増加-」で扱っていた考え方と、旧サイトの銘柄分析で実際に用いていた年間EPS・ROE等の見方を、現在の分析方法に合わせて再構成したものです。

投稿日:2026年8月17日 更新日:

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