CAN-SLIMを学ぶ / I
強い株には、誰のお金が入っている?
Iは「Institutional Sponsorship」。投資信託、運用会社、年金などの機関投資家が、その企業を保有しているかを見る項目です。大きな株価上昇を長く支えるには、大きな資金の参加も重要になります。
業績がいい。新しい成長材料もある。株価も強い。
では、その株を実際に買っているのは誰でしょう。
それとも、大きな資金を運用する投資家も買っている?
株価を長期間押し上げるほどの需要を考えると、機関投資家の存在は無視できません。Iでは、その「大きなお金」の参加を見ます。
Iの基本
CAN-SLIMのIは、機関投資家の支援を見る
CAN-SLIMでは、大きく上昇する銘柄には機関投資家の保有があることを重視します。
機関投資家は大量の資金を運用しています。魅力的な企業を見つけても、一度に必要な株数をすべて買うことは難しく、時間をかけて買い集めることがあります。
その継続的な需要が、株価上昇を支える力になる可能性があります。
多ければ多いほどいい?
機関投資家が多すぎても、単純には喜べない
「機関投資家が買っているなら、多ければ多いほど安心」と考えたくなります。でもCAN-SLIMの考え方は少し違います。
すでに多くの機関投資家が大量に保有している成熟企業より、これから新しい機関投資家が参加し始める成長企業の方が、追加の買い需要が生まれる余地があるかもしれません。
だからIでは、保有量だけでなく新しく参加する機関が増えているかという変化も大切になります。
質を見る
「誰でもいい」わけではない
機関投資家にもさまざまな運用方針があります。短期的に売買する投資家もいれば、企業を詳しく調査し、成長を見込んで長期保有する投資家もいます。
CAN-SLIMでは、過去に優れた運用実績を持つ機関投資家が保有しているかも重要な視点です。
有力な投資家が新しく参加しているなら、その企業に対する評価が変わり始めている可能性があります。
日本株ではどう見る?
米国のように簡単には見えない
旧記事を書いていた頃、日本株で機関投資家の保有状況を継続して追うことは簡単ではありませんでした。
企業の有価証券報告書には大株主情報がありますが、それだけでは機関投資家の保有が増えたのか、誰が新しく買ったのかを日々把握するのは難しいからです。
大量保有報告書などもありますが、資料を一つずつ確認するにはかなりの時間がかかります。
現在は公開資料をプログラムで整理し、AIも活用しながら、機関投資家の保有や大量保有報告の変化を分析基盤へ取り込んでいます。
保有比率の変化を見る
今どれだけ持っているかより、「増えているか」
たとえば機関投資家保有比率が30%ある会社があったとします。
30%という数字だけでは、その企業への関心が高まっているのかは分かりません。以前40%だったなら減っていますし、以前20%だったなら大きく増えています。
この2つを一緒に見ることで、機関資金の方向が見えやすくなります。
大量保有報告を見る
大口投資家の変化が表に出る資料
日本株では、一定割合を超えて株式を保有した投資家が大量保有報告書を提出する場合があります。
そこには、誰が保有しているのか、保有比率がどう変化したのか、保有目的は何かといった情報が含まれます。
買い増しが続いているのか、保有比率を減らしているのか、新しい大口投資家が現れたのか。こうした変化はIを見るうえで貴重な材料になります。
保有目的を見る
同じ大株主でも、目的は違う
大量保有報告では、保有目的にも注目します。
取引関係や経営参加を目的とした保有と、株価上昇や配当などの投資収益を目的とした保有では意味が異なります。
私の手法では、特に純投資目的の保有者がいるかも確認しています。企業の成長や株価上昇を期待した資金が入っている可能性を見るためです。
出来高にも表れる
大きなお金は、足跡を完全には隠せない
機関投資家の保有資料は更新に時間差があります。一方、実際の買いは株価と出来高に先に表れることがあります。
大きな出来高を伴って株価が上昇する日が続くなら、大口資金が買っている可能性があります。
そのためIだけを単独で見るのではなく、Sの出来高やLの株価の強さと合わせると、機関投資家の参加をより立体的に考えられます。
CAN-SLIMの各要素は、こうして少しずつつながっています。
今の分析方法
CAN-SLIMのIを、7つの視点に整理する
日本株の機関投資家の参加を次の7項目で確認しています。
細かな数値を覚える必要はありません。まずは「大きなお金はこの株に入っている? そして、その支援は増えている?」と考えると、Iの意味が分かりやすくなります。
NEXT
良い銘柄を見つけた。それでも市場全体が下がったら?
C・A・N・S・L・Iまでで、企業と株そのものをかなり詳しく見てきました。
でも、どれだけ良い銘柄でも、市場全体が大きく下落すれば影響を受けます。
最後はM ― Market Direction。CAN-SLIMの中でも特に重要な、市場全体の方向を見ていきます。
※本ページは、CAN-SLIMのInstitutional Sponsorshipの基本的な考え方と、旧記事で課題としていた日本株の機関投資家情報の把握を、現在の分析方法へつながる形で再構成したものです。