CAN-SLIMを学ぶ / L
「まだ上がっていない株」より、すでに強い株を選ぶ?
Lは「Leader or Laggard」。市場や業界を引っ張る主導株なのか、それとも動きの鈍い停滞株なのかを見る項目です。CAN-SLIMでは、安く見える出遅れ株より、すでに強さを示している主導株を選ぶ考え方を重視します。
ある業界が人気になって、代表銘柄はもうかなり上がっている。
すると、ついこう考えたくなります。
「出遅れている分、これから上がるかも」
でもCAN-SLIMでは、ここでむしろ逆を考えます。
すでに一番強い株には、それだけの理由があるのではないか。
Lの基本
CAN-SLIMが狙うのは「主導株」
旧記事では、Lを「業界をリードする主要な銘柄なのか、それともその他大勢の銘柄なのかを問うもの」と整理していました。
CAN-SLIMでは、業界内で業績や株価パフォーマンスが優れた企業を主導株として重視します。規模が一番大きい会社、知名度が一番高い会社という意味ではありません。
利益成長、売上成長、利益率、新しい製品やサービス、そして株価の強さ。そうした条件がそろい、市場から実際に評価されている企業です。
これがLの中心にある考え方です。
相対的な強さを見る
強い株は、大きく上がる前から強い
主導株を見分ける代表的な方法が、株価の相対的な強さを見ることです。
ある銘柄だけを眺めて「最近上がっている」と感じても、市場全体がもっと上がっていれば、その銘柄は実は弱いかもしれません。
そこでCAN-SLIMでは、市場の他の銘柄と比べてどれくらい強い値動きをしているかを見ます。
大きく上昇する銘柄は、本格上昇の前から市場の多くの銘柄を上回る値動きをしている、という考え方です。
日本株でどう見る?
昔は代替指標を探し、今はRSを計算する
旧記事を書いた2019年当時、米国で使われているレラティブストレングス評価を日本株でそのまま確認できないことが大きな悩みでした。
そこで当時は、直近52週の株価上昇率を全銘柄で比較し、上位銘柄を探す方法を代替案として考えていました。
現在の私の手法では、日本株全体の中での相対的な強さをRS Ratingとして計算し、Lの中心指標として使っています。
旧ブログで実現出来なかった手法が、AIを活用して現在の分析基盤へつながった部分のひとつです。
出遅れ株に注意
「まだ上がっていない」は、魅力ではなく弱さかもしれない
人気テーマの中で主導株が大きく上昇すると、同じ業界のまだ上がっていない銘柄にも注目が集まります。
旧記事では、こうした銘柄を主導株の動きに引っ張られる「共振株」として紹介していました。
価格が安く見えると、「こちらの方が上値余地がある」と感じます。でも、主導株ほど業績が強くない、競争力が弱い、市場からの評価が低いから出遅れている可能性もあります。
Lは、CAN-SLIMの順張り的な考え方が特によく表れる項目です。
業種の中でも比べる
強い業種の中で、さらに一番強い株を探す
株価は企業単独で動くわけではなく、業種やテーマの影響も受けます。
たとえば銀行株全体が強いとき、多くの銀行株が上がるかもしれません。でも、その中でもより早く高値を更新し、下落局面でも崩れにくい銘柄があります。
そこで私の手法では、市場全体に対するRSだけでなく、33業種のRSと業種内順位も確認します。
「強い業種にいる」だけではなく、「その強い業種の中でも主役なのか」を見たいからです。
調整局面を見る
相場が下がったときこそ、強さの差が見える
旧L記事では、市場全体の調整局面は新しい主導株を探しやすい時期だという考え方を紹介していました。
相場が上がっているときは、多くの銘柄が一緒に上昇するため、本当に強い株が分かりにくいことがあります。
ところが市場が調整すると、弱い株は大きく崩れ、強い株は比較的よく持ちこたえます。
市場が反発したら、真っ先に高値へ向かう。
そんな動きは、次の主導株を探す大きなヒントになります。
高値圏を見る
52週高値に近いことも「強さ」のひとつ
N編で説明したように、CAN-SLIM本来のNには「New Highs=新高値」も含まれます。
現在の私の手法では、企業側の新しさと株価の強さを分けるため、52週高値との距離はLで評価しています。
高値に近い株は「高すぎる」と感じやすい一方、市場から継続的に買われているからこそ、その位置にいるとも考えられます。
もちろん高値圏にいるだけでは不十分です。RSや業種内順位、市場との比較と合わせて見ます。
勢いの変化を見る
RSが高いだけでなく、強さが続いているか
RS Ratingが高くても、数週間前から急速に順位を落としているなら、主導性に変化が起きているかもしれません。
逆に、RSが高い状態を保ちながらさらに上昇している銘柄なら、強さが継続している可能性があります。
そのため現在は、RSの現在値だけではなく、4週・8週の変化も確認します。
これは現在の候補ランキングでも重視している考え方です。
今の分析方法
CAN-SLIMのLを、7つの視点に整理する
現在の私の手法では、市場全体・業種・高値との位置関係を組み合わせて、主導株としての強さを次の7項目で確認しています。
細かな数値を覚える必要はありません。まずは「この銘柄は、市場や同業他社より本当に強い? そして、その強さは続いている?」と考えると、Lの意味が分かりやすくなります。
NEXT
強い株には、誰のお金が入っている?
Lで主導株を見つけたら、次に確認したいのは、その株を誰が買っているのかです。
大きな成長株を長期間押し上げるには、個人投資家だけではなく、大きな資金を持つ投資家の参加も重要になります。
次はI ― Institutional Sponsorship。機関投資家の参加を見ていきます。
※本ページは、旧記事「『CAN-SLIM』のL(Leader or Laggard) -主導株か停滞株か-」で扱っていた、主導株、相対的な強さ、共振株、調整局面での主導株探しの考え方を土台に、現在の日本株分析へつながる形で再構成したものです。