CAN-SLIMを学ぶ / M
良い銘柄を買ったのに、市場全体に巻き込まれた
Mは「Market Direction」。市場全体の方向です。CAN-SLIMでは、どれだけ魅力的な銘柄でも、市場全体が下落局面にあるときは大きな影響を受けると考えます。
Cもいい。Aもいい。Nもある。S・L・Iも悪くない。
それなのに、買った翌週から市場全体が崩れて、その銘柄まで一緒に下がってしまった。
その答えのひとつがMです。CAN-SLIMでは、個別銘柄だけでなく市場全体の方向を非常に重視します。
Mの基本
CAN-SLIMでは、市場に逆らわない
旧記事でも、CAN-SLIMは順張りの投資手法であり、下げ相場では無理に買い向かわず、まず市場の流れを確認する考え方を繰り返し扱ってきました。
個別銘柄の業績が良くても、市場全体でリスク回避の売りが強まれば、株価はその影響を受けます。
CAN-SLIMでは、その両方を確認します。
なぜ市場全体を見る?
主導株も、市場の波から完全には逃れられない
相場が上向いているときは、投資家の資金が株式市場へ入りやすくなります。主導株にはさらに買いが集まり、上昇が続きやすくなります。
逆に市場全体で売りが優勢になると、強かった株まで利益確定やリスク回避の対象になります。
だからMでは、「この銘柄は強いか」ではなく、いま市場そのものが株を買いやすい状態かを見ます。
天井をどう見る?
市場は、突然崩れる前にサインを出すことがある
旧記事では、相場の天井を見極めるために、市場指数の下落と出来高の増加を組み合わせて見る考え方を紹介していました。
指数が下がり、しかも出来高が増える日が何度も出てくるなら、大きな資金が市場から抜け始めている可能性があります。
こうした売り圧力の蓄積を確認するのが、ディストリビューションデー(DD)という考え方です。
旧記事では売り抜け日の数え方や出来高の見方を試行錯誤していました。現在はその考え方をデータとして蓄積し、毎日の市場判定へ組み込んでいます。
底をどう見る?
大きく下がった翌日に買う、ではない
市場が急落すると、「そろそろ底では?」と買いたくなることがあります。
でもCAN-SLIMでは、安くなったという理由だけで底を決めません。下落が止まり、反発が始まり、その上昇に本物の買いが入っているかを確認します。
その確認に使われるのがフォロースルーデー(FTD)という考え方です。
この考え方がMの大きな特徴です。
DDとFTD
売り圧力と買いの復活を、別々に見る
ディストリビューションデー(DD)は、機関投資家など大きな資金の売り圧力が市場に蓄積していないかを見るものです。
フォロースルーデー(FTD)は、調整後の反発が本格的な上昇へつながる可能性が高まったかを確認するものです。
どちらも1日だけで判断するものではありません。
反発が始まる → FTDを待つ。
FTD後も上昇が維持される → 市場の状態を再評価する。
市場には段階がある
上がる・下がるだけではなく、どこにいるかを見る
相場は、上昇と下落を突然切り替えるわけではありません。
底固めから上昇へ移り、やがて勢いが鈍り、天井を作り、下落へ入る。そんな流れがあります。
現在の私の手法では、この位置を市場ステージとして確認します。
市場温度が同じでも、相場がどの位置にいるかで意味は変わります。
市場全体の広がりを見る
指数だけ上がっていても、本当に強い?
日経平均が上昇しているから、市場全体が強いとは限りません。
一部の大型株だけが指数を押し上げ、実際には多くの銘柄が下落していることもあります。
そこで私の手法では、上昇銘柄と下落銘柄の広がりも確認します。
現在はプログラムで日々の市場データを蓄積し、AIも活用しながら、市場の広がりや資金の流れまで分析基盤へ取り込んでいます。
資金はどこへ向かう?
市場が上がっていても、すべての株が同じではない
相場では、資金が大型株へ集まる時期もあれば、グロース株へ向かう時期もあります。
特定の業種に資金が集中し、そこから主導株が生まれることもあります。
だから市場全体の方向を見るときも、「指数が上がったか」だけでなく、どこへ資金が流れているかを見ると相場の中身が見えやすくなります。
米国市場を見る
日本株だけ見ていても、朝には景色が変わる
日本市場は、前夜の米国株の動きから大きな影響を受けることがあります。
日本市場の引け時点では強かったのに、夜間に米国市場が大きく崩れれば、翌朝の投資環境は変わります。
そのため現在の私の手法では、日本市場だけでなく米国主要指数の状態も市場判断に含めています。
今の分析方法
MをMarket Gateとして独立して見る
現在の私の手法では、C・A・N・S・L・Iで個別銘柄を評価し、MだけはMarket Gateとして別に判断しています。
市場環境は個別銘柄ごとに変わるものではなく、すべての銘柄に共通して影響するからです。
この6つを100点で評価し、市場温度として表示します。さらにディストリビューションデー(DD)、フォロースルーデー(FTD)、市場ステージを合わせて確認します。
まずは「良い銘柄を探す前に、いま市場は株を買いやすい状態?」と考える。それがMの基本です。
CAN-SLIMを一周して
CからMまで、全部つながっている
Cで直近の成長を見て、Aで長期の成長を確認する。Nでその成長を生む新しい変化を探し、Sで需給を見る。Lで主導株かを確認し、Iで機関投資家の参加を見る。
そして最後にMで、市場全体がその銘柄の上昇を後押しできる環境かを確認します。
これが、CAN-SLIMを学んでいくと見えてくる全体像です。
※本ページは、旧記事「『CAN-SLIM』のM(Market Direction) -株式市場の方向-」や、市場の天井・底を扱った旧記事で考えてきた内容を、現在のMarket Gateへつながる形で再構成したものです。