CAN-SLIMを学ぶ / S
良い会社なのに、なぜ株価が上がらない?
Sは「Supply and Demand」。株式の需要と供給です。業績が良くても、売りたい株が多ければ株価は上がりにくい。逆に、買いたい人が増えているのに市場に出てくる株が少なければ、株価は上へ動きやすくなります。
Cもいい。Aもいい。Nもある。
「これは強そうだ」と思ったのに、株価はなかなか動かない。
そんなとき、会社の業績とは別の力が働いていることがあります。
売りたい株はどれくらい出てくる?
大きなお金は買いに回っている?
株価は最後には、買い手と売り手の力関係で決まります。Sは、そのシンプルだけれど重要な部分を見る項目です。
Sの基本
株価にも「需要と供給」がある
商品と同じように、株にも需要と供給があります。
ある価格で買いたい人がたくさんいるのに、売りたい株が少なければ価格は上がります。反対に、売りたい株が大量に出てくれば、いくら良い会社でも上値は重くなります。
旧記事でも、Sでは市場に流通する株式の量と、誰がどれくらい株式を保有しているかが株価に密接に関係すると整理していました。
株式数を見る
同じ買いの力なら、株が少ない方が動きやすい
発行されている株式が非常に多い会社と、比較的少ない会社。同じ金額の買いが入ったとき、株価への影響は同じとは限りません。
市場に出回る株が限られているところへ強い需要が入れば、価格は大きく動きやすくなります。
ただし、「株式数が少なければ必ず上がる」という話ではありません。まず必要なのは強い需要です。Sでは、供給量と買いの力をセットで考えます。
経営陣の保有を見る
発行済株式数と、実際に市場へ出る株は同じではない
旧サイトのS記事では、経営陣がどのくらい自社株を保有しているかにも注目していました。
経営陣など長期保有者が多くの株を持っていて、それを市場で頻繁に売買しないなら、発行済株式数すべてが日々の売り物になるわけではありません。
つまり、数字上の株式数だけでなく、実際にどれだけの株が市場で動き得るのかという感覚も大切です。
「誰が持っているか」を見ると、同じ株式数でも需給の見え方が変わります。
自社株買いを見る
会社自身が株式の供給を減らすこともある
旧記事でも取り上げていたのが自社株買いです。
会社が市場から自社株を買い戻せば、市場にある株式の供給が減る方向に働きます。さらに、株式数が減れば、同じ利益でも1株当たり利益が高くなる場合があります。
つまり自社株買いは、需給だけでなくEPSにも影響することがあります。
この組み合わせは、成長株を見るうえで興味深い状態です。
出来高を見る
株価だけでは見えない「買いの強さ」
需要を見るときに欠かせないのが出来高です。
株価が上がった日でも、出来高がほとんど増えていなければ、大きな資金が入っているとは限りません。逆に、普段より大きな出来高を伴って上昇しているなら、強い買い需要が入っている可能性があります。
特に機関投資家のような大口投資家は、一度にすべての株を買うことが難しいため、出来高の変化としてその動きが表れることがあります。
これは個別株のSだけでなく、市場全体を見るMarket Gateにもつながっている考え方です。
上昇日と下落日を見る
出来高は「多い・少ない」だけでは足りない
出来高が増えたとしても、その日に株価が上がったのか下がったのかで意味は変わります。
上昇日に大きな出来高が続けば、買い需要が優勢かもしれません。逆に、下落日に大きな出来高が集中していれば、強い売りが出ている可能性があります。
そうすると、表面の株価だけでは見えない買い手と売り手の力関係が少しずつ見えてきます。
累積出来高を見る
日々の小さな動きを積み上げてみる
1日だけの出来高では判断しにくいこともあります。そこで、上昇日と下落日の出来高を継続して積み上げ、資金が入っているのか抜けているのかを見る方法があります。
私の手法ではこれを累積出来高として確認しています。
株価が横ばいでも累積出来高が上向いているなら、水面下で買いが積み重なっている可能性があります。反対に株価が高値圏でも累積出来高が弱くなれば、需給の変化を疑う材料になります。
株式数の増加に注意
成長の途中で「供給」が増えることもある
増資や新株予約権などで株式数が増えれば、市場へ出てくる株の供給が増えます。
企業にとって成長投資の資金調達が必要な場合もあるため、株式数の増加自体が悪いわけではありません。
ただ、投資家側から見ると、1株当たりの利益が薄まる可能性や、需給が緩む可能性があります。だからSでは、株式数が増えているのか、減っているのかも継続して確認します。
今の分析方法
CAN-SLIMのSを、7つの視点に整理する
ここまでがSの基本的な考え方です。現在の私の手法では、日本株の需給を継続して追えるよう、次の7つの視点に整理しています。
細かな計算方法を覚える必要はありません。まずは「この株には買いが集まっている? それに対して売り物は多すぎない?」と考えると、Sの意味が分かりやすくなります。
NEXT
強い業種なら、どの株を選んでも同じ?
Sで株式の需給を見たら、次はその銘柄が市場の中で本当に強いのかを見ます。
同じ業種に何社もあっても、株価の動きにはかなり差があります。CAN-SLIMが狙うのは、出遅れ株ではなく市場を引っ張る主導株です。
次はL ― Leader or Laggard。主導株と停滞株の違いを見ていきます。
※本ページは、旧記事「『CAN-SLIM』のS(Supply and Demand) -株式の需要と供給-」で扱っていた、株式数、経営陣の保有、自社株買いなどの考え方を土台に、現在の分析方法へつながる形で再構成したものです。