目次
はじめに
CAN-SLIMのMの要素は「株式市場の方向」です。如何に大化け銘柄といえども市場のトレンドには逆らえない。市場が下降トレンドの時は投資は控えるのがオニールの考え方です。
そこで市場のトレンド転換点を見極めることができれば、より効率的な投資ができると考え、いろいろと研究を進めていました。その中で出来高の変化率に着目して検証してみたところ、過去の市場の分析において比較的よい結果を得られたことから、5月よりその指標をベースとしてトレンド転換点の観測を始めました。
この2か月間、投資日記の中にも週偏差率グラフというものを載せていますが、それがトレンド転換の指標として考えていたものです。
週偏差率を使う理由と使い方
週偏差率とは、以下の式で計算したものです。
週偏差率=(その日の出来高-1週間の平均出来高)÷1週間の平均出来高
意味として、
その日の出来高が1週間の平均出来高に対してどの程度変化したのか?
を見ています。
オニールの本にも書かれていますが、トレンドが転換する前には一定の出来高を伴った売り抜けや仕込みの動きがあるといいます。大口はその時点で行動を起こしているということです。
出来高が増加する。とうことですが、なにをもって増加というのか?という定義は難しい課題です。前日からの変化率かもしれませんし、肌感覚。なのかもしれません。
私はなんとか機械的な指標でこの出来高の増加を観測できないか?しかもトレンドが転換するポイントでなるべく正確に。という観点でいろいろと試していた中でこの週偏差率というものにたどりつきました。
週偏差率を使うと、直近1週間の出来高に対してその日の出来高がどれだけ強く動いたかもしくは弱く動いたかがわかります。過去の市場平均にこれを当てはめてみたとき、一定の変化を見せたときにトレンドの転換点が比較的よく検出できていました。
各市場における一定の変化率とは以下の基準です。
東証一部:週偏差率が1週間程度の間に60%程度変化した時
新興市場:週偏差率が1週間程度の間に80%程度変化した時
この考え方を使って5月より2カ月間、毎日この数字を記録することで一定の観測結果が得られたので、各市場ごとに考察したいと思います。
日経平均について
こちらのグラフは上部に平均株価のチャート、下部に出来高偏差率をいれて比較したものです。
赤い帯は変化率が基準を上回ったポイントです。
日経平均株価は4/22から5/7の5日間に-20%から+40%までの変化を見せました。次の日に日経平均は窓をあけて大きく下落。その後は下降トレンドに入ります。
次のタイミングは5/27から5/28の1日で-25%から+49%の変化を見せています。この時も次の日から終値が21,000円を切って下落に向かう転換点でした。しかし、6/4に底をつけてトレンドを転換した時には明確なサインは検出できていません。
東証2部指数について
東証2部は5/20から5/22にかけて-30%から+46%まで変化しています。この時はすでに下降トレンドにはいっており、2日後からさらに下落が加速しています。
次に検出されたのは、6/14から6/21にかけて-27%から+55%まで変化しました。これ以降、市場は下降トレンドから横這いとなり、その後上昇に転じました。
JASDAQ平均について
JASDAQ平均はご覧いただくとわかりますが、あまり有効な結果がでていません。
唯一、6/20から6/26にかけて-18%から+60%まで変化した場面では次の日から上昇の流れとなっています。
マザーズ指数について
マザーズ指数については、4/26から5/15にかけて-32%から+48%まで変化しています。このときは市場が急落から横這いになる転換点でした。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
正直、うーんとうなりたくなる結果です。。。
有効なのか、有効じゃないのか。。。
この指標をサインとして考えるには、エラー率が高すぎるというのが正直なところです。参考値としては利用できそうですが、信用しすぎないほうがいいと思います。
ここ2カ月の中では、大きなトレンド転換の流れが起きたとまではいえない状況です。過去の検証の中では、中長期のトレンドの中で大底をつけたポイントはかなり正確に検出できていました。今後、大きな転換点を迎えたときには、その辺の検証もできると考えています。
この指標の欠点なのですが、サインが出たとして、それが上昇なのか下落なのか、どちらに転換するサインかわからないことがあります。このへんについては市場の流れを見ながらどちらに流れそうかを考えながら、判断に活かしていくしかないと思っています。
今後も日記の中では引き続き掲載していく予定ですので、今回の内容を参考にご覧いただければと思います。