CAN-SLIM投資法

マーケットの天井を見極める方法 -CAN-SLIM投資法-

投稿日:2020年4月23日 更新日:

はじめに

CAN-SLIM投資においては7つの上昇銘柄を見つけるルールがあり、それぞれの頭文字をとって「CAN-SLIM」という名前をつけています。

その中で最後の項目であるM(株式市場の方向)は他の6つ全ての条件が揃ったとしてもこの条件が満たされていなければ投資してはいけないと言われるほど重要な項目です。

Mの項目は他の項目に比べても内容が多岐に渡っており、一つの記事にまとめるのは難しかったのでテーマに分けて記事にすることにしました。

Mの項目の数あるテーマの中でも特に重要だと思われるのが、この「天井を見極める方法」です。

この記事ではCAN-SLIM投資法で天井を見極める方法と私が実際に分析した事例について述べていきます。

ルールはいたってシンプル

オニールが過去の天井局面での株価指数の動きを大量に分析した結果、株式の大量売りの兆候を示す幾つかのサインを発見しています。

「オニールの成長株発掘法第4版」の中では語られていませんが、もう一つの著書である「オニールの相場師養成講座」の中でそれぞれのサインに独特の名前をつけて呼んでいます。

ストーリング

マーケット全体の出来高が前日よりも増加したのに株価は前日とほぼ変わらない状態

ディストリビューション

マーケット全体の株価が前日よりも出来高を増加しながら下落した状態

それぞれのローソク足と出来高のイメージは以下の通りです。あくまでも一例ですので、条件(青文字で記載)を満たすことが重要です。

オニールはこれらを「株価の上昇を伴わない出来高の増加」と呼んでいます。

これは、機関投資家による株式の売り抜けの状態を明確に示すものであるとしています。

こういった大口投資家による売り抜けの動きが、次の暴落のきっかけとなっていくのです。

次に売り抜けの動きがどのくらいの頻度で発生したら市場は下落するのかについてです。

天井を打つ直前での大量売りは、通常なら4~5週間に3~5日起こる。つまり売り抜けは、市場がまだ上昇中に起こるのだ!これこそが、売り抜けを見極められる投資家が極端に少ない理由の一つである。4週間~5週間で明確な売り抜けが4~5日あると、その後の市場全体はほぼ必ず下落を始める。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

このセンテンスは重要です。「売り抜け」は上昇中に起きるんです。市場が上昇しているからと言って流れに任せてポジションを積み上げると後で手痛いしっぺ返しを喰らうカラクリはここにあるんですね。

この4~5週間で3~5日というのは目安です。場合によっては2~3週間という短期で発生することもあるし、市場が新高値を試して戻し、売り抜けが6週間以上に長引くこともあると言っています。

いずれにしても「ストーリング」や「ディストリビューション」のサインが出たら、その後の株価指数の動きには注意が必要です。連続でサインが発生するときは大量の売り抜けが発生していると考え、保有する銘柄の売却を考える必要がでてきます。

市場の環境が急変する可能性もあるため、見逃してしまうとマーケットの方向性を見誤ってしまいます。常にマーケットの観察を続けることが重要です。

この売り抜けを示す動きですが、主要な株価指数の一つで確認できれば十分としています。ある指数で前日の出来高より増加したのに株価が0.2%以上下げれば「売り抜け日」とカウントします。

オニールの天井を見抜くルールはたったこれだけです!

われわれが考案したこの単純で強力なルールに従った多くの投資家が、2000年にハイテク主導株が壊滅的な下落をしたときや2008年にサブプライムローン問題が引き起こした弱気相場で命拾いをしているのだ。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

「だまし上げ」を暗示する三つのサイン

マーケットが天井を付けたあとは、だいたい株価は弱々しく上昇をしたあとに下落に転じる。(中略)最初の上昇の試しに失敗したときは、手持ち株をさらに売ったほうがよいだろう。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

投資家がなかなか天井を判断できないことのひとつにこの「だまし上げ」というのがあると思います。一度天井をつけたかなと思うとさらに上昇してしまい、「しまった。。」となってしまうやつですね。ところが次の天井を付けたところで大きな下落がきてしまい、また上昇するかも。。と思っている間にドンドン下がっていくという結果になります。

オニールはこの「だまし上げ」を暗示する3つのサインがあると言っています。

1.株価が天井から最初に下落したあと、数日間上昇するのに出来高は前日よりも下がっている

2.株価指数の上げ幅が前日よりも少なくなっている

3.株価指数が前につけた高値から直近の安値の値幅の半分も回復していない

こんな状況から株価が下落に転じたら手持ちの株をさらに売ったほうがいいと言っています。

主導株から市場の天井を見極める

市場の方向の大きな変化を示す指標として平均株価の次に重要なものは何かと言えば、主導株の動向である。上げ相場が何年か続いたあとにマーケットを牽引していた個別銘柄の大多数が異常な動きを見せ始めたら、市場が転換期を迎えていると確信してよいだろう。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

ここでいう主導株とは、当然CAN-SLIMに当てはまり、業界を引っ張るリーダー(シェアが高いという意味ではなく、成長を牽引している)であり、今までの上昇相場を支えてきた銘柄という意味です。こういった銘柄が以下のような動きをみせてきたら天井の可能性を疑うべきだとしています。

■3、4回目のベース形成時期で長期的な保ちあいや間延びした形などの不完全な形になった時

■何カ月も上昇したあとに、2~3週間続けてこれまでよりもさらに急上昇する「クライマックストップ」の形成

■出来高が急増しているのに高値へとブレイクできないような異常な値動きを見せる

■直近の四半期収益が深刻なほど伸び悩む銘柄が出てくる

自分が保有もしくは監視している銘柄にこのような動きが見え、まったく含み益が乗っていないようであれば天井が近いサインといえそうです。

弱気相場の初期の段階では、特定の主導株が下降トレンドに抵抗するかのように強く、上昇できるという印象を与えるものだ。しかしこれは単に、避けられない下落という運命に逆らっている姿にすぎない。やがて本格的な下落が始まると、そこから逃れられる銘柄はなく、いずれは主導株ですら例外なく売り局面に屈するのだ。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

まだまだ上昇は続くと思って暴落前にフルポジになってしまうのは、この辺の影響なのかもしれません。これは個別銘柄だけ見ていたら絶対に気が付かない視点です。

市場の流れ、そして主導株の流れ。両方を合わせて見ていくことが重要です。

その他の弱気相場の警告

これまでマーケットを牽引してきた主導銘柄がつまずき始めて、代わりに低価格でより投機的なボロ株が浮上し始めたら要注意だ!老犬(重厚長大産業)が吠え始めると、マーケットは最後の弱った足でようやく立っている状態だ。停滞株には市場を牽引して株価を上昇させるような力はない。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

平均株価が弱い出来高の中でジリジリ上昇するようなときに、CAN-SLIMで選定した優良株の伸びが鈍化してきて、今まで見向きもされていなかったボロ株が勢いを増してきているようだと、市場の勢いは既に失われており、早晩下落を始める前兆です。

従って、日々の上昇銘柄のランキングを確認するのも大事な作業です。市場の上昇が鈍った時に上位にランクインする銘柄にこういった仕手株系の銘柄が増えてくると、そろそろ警戒する時期と考えるべきです。

天井での反転(相場が新高値を付けたあとにその日の安値で引けたとき)は、多くの場合、平均株価が小さめのベースから抜けて新高値圏内へと向かい始めてから3~9日ほど上昇する間に起こる。過去に現れた天井はほぼすべて同じような状況であったことを覚えておくことが重要だ。また、天井を付けても数カ月は持ち直し、前の高値水準かそれ以上の新高値近くまで値を戻してから、大きな下落を始める場合もある。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

最初のセンテンスについては以下のような捉え方なのかなと思っています。

以下はコロナショック前における市場の天井付近の動きですが、2019年初頭から続いてきた上昇相場が11月に入り横這いの動きとなります。ここがベース形成の部分です。ここから12月に入って新高値圏へブレイクしますが、10日後にその日の安値で引けました。ここが「天井の反転」を示す動きだったという流れです。

これについてはわかりやすいサインでもあるので、過去の天井の事例や今後の市場分析の中でも注意してみていきたいところです。

次のセンテンスについては、2018年末に起こったクリスマスショックや2020年1月のコロナ・ショックが、日経平均の2018年1月の天井を基点にその後の暴落をスタートしたということが分かっています。

中長期的な流れの中で以前天井をつけた水準は相場の転換になることが多いため、その後の動きに注意しなくてはなりません。

天井を見極めることができた実際の事例

今まで見てきたことについて、本当かな?と思われる方に、2020年4月時点で執筆している私が実際に「コロナ・ショック」を察知できた事例をご覧いただくのがいいと思います。

正直この動きを見つけるまで私も半信半疑だったことは認めます。(^-^;

そのため、初動の下落に巻き込まれましたが、すぐにポジションを引き上げたため大きな損失を被ることは避けることができました。今までの私であれば間違いなくホールドのまま、まともに暴落を喰らっていました。

以下のチャートはコロナショック前後のNYダウと日経平均の動きを表したものです。

この中でそれぞれの記号は「T」:天井、「D」:ディストリビューション、「S」:ストーリング、を表しています。

ご覧のように順調に伸びてきたNYダウは、史上最高値を更新した最初の天井のあとストーリングとディストリビューションを連発して最初の売り抜けの動きを見せます。

その後再び上昇しますが、出来高の下落が続き(「だまし上げ」)、次の天井のあとは出来高急増でディストリビューションを連発。一気に下落にスピードがついています。

その後、一度はリバウンドしますがここでもだまし上げの動きが見えており、すぐにディストリビューションを見せて再度下落しています。

恐らく本場米国のCAN-SLIM投資を忠実に実行している投資家は、最初の売り抜けの動きが見えたタイミングで全てキャッシュポジションにしていると思います。

続いて日経平均です。

この中で「日銀」と描かれたところは日銀のETF買い入れのあったことを示しています。日経平均はNYダウに比べるとノイズが乗っているのでわかりづらいですが、最初の売り抜けの動きが見えた後、だまし上げを経て2度目の天井を記録しています。その後2回目の売り抜けが見えます。三度目の天井をつけた後はジリジリと下落していましたが、ディストリビューションが3連発したところから一気に下落しています。

よく見ると3度の天井は、真ん中が高く、次に左肩で右肩が一番低くなっています。いわゆるヘッドアンドショルダー(三尊天井)にもなっていますね。

NYダウに比べてわかりづらいですが、本格的な下落のサインとなったディストリビューションを3連発した場面で売り抜けても充分損失を免れたと思います。

実際に私も徐々にポジションを減らしていましたが全てのポジションを閉じたのはこのタイミングでした。

2000年以降、日本市場は外国人投資家の比率が高まり、米市場との連動性が高まっています。今後も続いていくのかどうかはよく観察していかなくてはいけませんが、NYダウと日経平均の両方をみていくことで、より天井を見極めることが可能になると思います。

最後に

今まで見てきた「天井を見極める方法」ですが、天井前の動きを見ていると力強い相場の上昇が続いており、恐らくリアルタイムで見ていたら、ここから大きく下落する流れになるとは考えにくいと思います。

しかし、オニールが言う通り売り抜けの動きは天井をつける前には動きだしているということもわかってきたと思います。

われわれはかなり前にマーケットの方向性を探る手法を発見し、それを発展させてきた。投資で成功するためには非常に重要な要素なので、これを理解して日々応用できるようになるまで本章を何度も読み返し、今後の投資に生かしてほしい。これを習得すれば、将来大きな弱気相場が訪れても、ポートフォリオの30%~50%を失うような状況に陥ることはけっしてないはずだ。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

オニールの言っていることというのは複雑怪奇な専門的な知識のいるような内容ではなく、ごくシンプルな個人投資家が簡単に取り組める内容です。

ただし、簡単に取り組めますが相当根気のいる作業だと思います。ただ、これができるかできないかがマーケットの天井を見極め、暴落から身を守ることになるのであれば、投資家としてやらない手はないと思います。

マーケットの方向を知るには、主要な指数を毎日のように観察して分析しなければならない。市場の今後の動きを人に聞くなど、もってのほかだ。日々の市場の動きを正確に読み取る力を自分で身につけるのだ。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

巷には投資に関する情報が山のようにあふれており、様々なアナリストや投資家が経済指標や独自の理論で市場の行く末を日々発信しています。しかし、これらの情報をあてにしていると天井付近の力強い動きに対する誤った前向きなメッセージに間違った判断を下してしまうかもしれません。

どれを信じるかは本人次第ですが、もし本当に投資で儲けるのならば、周りに流されるのではなく、自分自身が判断しなければならないとオニールは言っています。

機関投資家や個人投資家を問わず、ほとんどの投資家が最初は天井にダマされる。これはすべて人間心理学と感情の作用なのだ。

ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より

真の勝ち続ける投資家になるためには、地道な分析と事実に基づいた独自の判断。

これをしっかりやっていくことが重要なのだと思います。

市場の方向性に関する記事は以下も参考にしてみて下さい。

「CAN-SLIM」のM(Market Direction) -株式市場の方向-

このブログの元となっている本について

このブログで取り組んでいる市場分析について、詳しく勉強したい方は以下の本を参考にしてみてください。根気よく取り組んでいけば、市場の流れを見極める力が絶対上がると思います。

それ以外にも買いのタイミング、売りのタイミングなど株式投資に必須の知識が網羅されています。この本を完璧にマスターすれば、あなたも投資で必ず成功できると思います。

さらにCAN-SLIM投資を極めたい方はこちらの本でみっちり勉強してみてください。投資で成功するためのエッセンスが詰まっている良書です。

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