CAN-SLIM投資法 投資入門

AS Wind流投資手法 株を買うタイミング その1・基本のチャート形状「取っ手付きカップ」

投稿日:2020年1月13日 更新日:

はじめに

CAN-SLIM投資においては買いを判断するうえで極めて特徴的なチャート形状を目印としています。それは長年オニールが研究を重ねたうえで発見したもので、株価が上昇するときに見せる投資家の需給の流れを表しています。今回はその中で最もスタンダードである「取っ手付きカップ」について解説します。

私は過去の経験からこの「取っ手付きカップ」について独自の解釈を加えて「買いのタイミング」を判断しています。今回はその「AS Wind流取っ手付きカップ」と「買いのタイミング」について紹介したいと思います。

CAN-SLIMで最も基本的な「取っ手付きカップ」

CAN-SLIM投資においてはこの「取っ手付きカップ」が最もスタンダードな形として知られています。「取っ手付きカップ」はサポートラインを引くと横からみたティーカップのシルエットに見えることからつけられた名前です。しかし、実際に投資しようとしてチャートを見ると「取っ手付きカップ」に見えるような、見えないような、どうにでもとれるように最初は感じてしまうかもしれません。

私がまさにそうでした。こればかりは経験によって徐々に感覚を磨いていくしかありません。この記事では皆さんがこの「取っ手付きカップ」を見つけやすくするため、過去に私が投資した銘柄で「取っ手付きカップ」の特徴をお伝えしたいと思います。

「取っ手付きカップ」の典型的なパターン

最近投資している銘柄について週足チャートに取っ手付きカップを明示してみました。青線はカップを形成し始めたライン、赤線は取っ手を形成し始めたライン、オレンジは10週移動平均線を表しています。

緑色で「取っ手付きカップ」の形状を示しています。見事にティーカップを描いていますね。私が購入する銘柄には少なからずこのサインがどこかに発生しているものが基本的にはほとんどを占めています。サポートラインを描いているのでわかりますが、外してみるとなんてことはないチャートに見えてしまうかもしれません。(^-^;

「取っ手付きカップ」を見つけるにはなによりも経験が必要

最初は「取っ手付きカップ」だと思って選んだ銘柄が思ったように上昇しないことが沢山あると思います。しかし、これは多くのトライアンドエラーを繰り返して、結果を検証し、徐々に経験値をためてブラッシュアップしていくしか精度を上げる方法はありません。

オニールの投資手法は非常にわかりやすいのですが、CAN-SLIM投資をやっている人が思ったより少ないのはこの辺の「勘」が実は非常に大事で「勘」を養うために経験値を必要とするからなんだと思います。

「取っ手付きカップ」の流れと特徴

まず初めに全体の流れを図示しておきます。以下この図に沿って説明をしていきます。

カップ形成の始まり

カップの形成の始まりですが、これは比較的わかりやすいと思います。

株価が上昇してきて直近の高値をつけたところがカップ形成のスタートです。上場来高値もしくは年初来高値をつけたところが理想的ですね。

よく株価がブレイクすると慌てて買ってしまう人がいますが、焦らず2週間は様子を見ることをお薦めします。

株価が伸びずに下落すればカップ形成の始まりかもしれません。うまくいけば次のブレイクまでにしっかりと仕込むことができます。

そのまま上に伸びていったら株価を追わないことです。突然の利益確定などで高値掴みとなり、思わなる損失を招く可能性が高くなります。

投資において最も重要なのは損失を極力抑えて確実に儲けること。ギャンブルの要素は極力排除するべきです。

カップ形成中の動き

カップ形成が始まると数週間は下落の動きになると思いますが、その後は出来高を下げて横這いの動きになってきます。そうなれば順調にカップの形成期に入ったといえます。このままズルズル下げるようであれば諦めますが、指標となるのは10週移動平均線です。基本的には10週移動平均線辺りで調整が続くようであれば継続ウォッチとしています。

高値を付けた後に下落すると、上昇は終了したと判断してその後は次の銘柄探しに行ってしまう方が多いと思いますが、CAN-SLIMはここからが本番です。次の上昇に向けた調整がいつ終わるか、虎視眈々とウォッチを続けます。

カップの形成ですが、短いもので4~5週間、長いもので50週程度を目安にしています。それよりも長すぎるものは投資家の関心が薄れすぎていると考え排除します。

またオニールはカップの底値がカップの上端の株価から30%程度の下落までに収まることを条件としています。これ以上下がった銘柄は調整が深すぎて上昇に必要となるエネルギーが足りなくなります。

時間軸としては1カ月~1年はじっと観察するので、この期間はポジポジ病の人にはなかなか根気のいる作業かもしれません。(^-^;

取っ手形成の動き

カップの形成期終盤に入ってくると、出来高を上げながらジリジリと株価が上昇してきます。

そしてカップを形成し始めた後の高値を付けたあと、下落に転じます。このポイントを「取っ手形成」と呼び、別名「ピボットポイント」と呼んでいます。「ピボットポイント」はカップ形成の上端より下であることが条件となります。

先程のチャートを見ていただくとわかりますが、青点線がカップ上端ですが、ピボットポイントである赤点線より必ず上になっていますね。ここでブレイクしてしまうと、最後の「タメ」がないため、上昇の勢いに限度がある(数%~10%程度)。というのがCAN-SLIMの考え方です。20%以上上昇する銘柄のここからが最後の「タメ」の調整期間になります。

この「ピボットポイント」は位置が低すぎてもだめです。オニールはカップ上端の株価とカップの底の株価の半分より上でかつ10週移動平均線よりも上であること。としています。そこより下で形成された場合は、ブレイクに必要なエネルギーが相当必要になってくるからです。

取っ手形成中の動き その1「振い落し」

無事取っ手を形成すると数週間株価は下落します。上値、下値も切り下げていきます。チャートの形状としては陰線で下ヒゲを伸ばした形が典型的です。この期間を「振い落し」といいます。

上昇に向けて大口投資家が株を集めるため、個人投資家などに売りを誘発するための動きです。ここで出来高が上がってくるようだと単純な「売り」となりますので注意が必要です。また、下値が切り上がってくるようだと、十分に振い落しが機能していないことになりますので、上昇するための「タメ」が足りなくなってしまいます。

取っ手形成中の動き その2「調整の雲」

数週間「振い落し」の動きが続いたあとにブレイクをする銘柄もありますが、さらに出来高を下げてピボットポイントと「振い落し」の値幅の範囲で調整の動きが続くパターンが多いです。このピボットポイントと「振い落し」の下値の間を独自のルールで「調整の雲」と呼んでいます。上場されている銘柄のチャートを総ざらいで観察した結果、調整後に上昇する銘柄はこの「調整の雲」から下には株価が下がらないことを発見しました。

この「調整の雲」ですが、上昇中の調整局面でも見ることができます。それについてはまた別のテーマの時に述べたいと思います。

ブレイクに向けた動き 10週移動平均のサポート

この「調整の雲」から抜け出して最終的にピボットポイントをブレイクする銘柄はさらに10週移動平均線のサポートが重要になってきます。

最終的にブレイクするときはジリジリとピボットポイントに近づいていきますが、この10週移動平均線に沿った形で上昇していきます。

週足で10週移動平均を割ってしまうようだと、まだまだ「調整の雲」を脱するまでの「タメ」が貯まっていないことになります。

ピボットポイントのブレイク

調整期間を経て最終的にピボットポイントをブレイクするときの動きとして重要なのは出来高です。しっかりと出来高を伴って綺麗な陽線でブレイクをすれば、すぐにピボットポイントを切るような動きにはなりません。ブレイクをした週の週足がしっかりと陽線を描いて終了することが重要です。週途中で失速してピボットポイントを切るようであれば、まだ上昇に向けた調整が終了していないことを表します。

場合によっては、そこが株価のピークで下落に転じてしまうケースもあります。それはやはり事前のカップ形成、その後の取っ手形成時の調整で売りが枯れた状況になっていないことを表しています。

ここまで頑張ってウォッチして、せっかくブレイクまでいったのにすぐ下落してしまうとホールドしたくなってしまいますが、その後の調整が長引く可能性が高いです。下げが継続しそうな場合は機会損失にならないようスパッと諦めることも肝心です。

ブレイク後の動き

ブレイク後はピボットポイントを切らずにそれより上で株価が展開することを確認します。そこから次の「取っ手付きカップ」や「平底型」を形成することがあります。その最も最下値がピボットポイントより上で形成されることが肝心です。

ブレイク後の動きイメージ

最初に書きましたが、とにかくブレイクしたら2週間は焦らず観察することです。この間にピボットポイントの下に戻すようであればまだまだ調整の継続か下落に転じたことになり、ホールドか売却かの判断をすることになります。

継続して上昇した場合ですが、ブレイクから10%以上上昇した銘柄には手を出さないようにオニールは忠告しています。私もこの段階では買い増しはせずに次の調整を待ちます。ここまでいくと個人投資家も絡んできて株価は乱高下することになり、まったくもって先行きがわからなくなるからです。

含み益があれば、この辺の乱高下も安心して見ていることができます。

次に買い増しするのは、再び調整の動きが見えてきた時です。

買いのタイミングと損切りのタイミング

さて、本題ですが、私が全体の流れの中でどこで買うのかというと、上記で述べた「調整の雲」の中で買うタイミングを図っています。

「調整の雲」は最終的なブレイクに向けた調整の期間であり、ブレイクする銘柄はこの中で調整が終了する。というのが私の投資理論です。従って、「調整の雲」の底値。もしくは「調整の底」を反発したところを狙って買いを入れます。

底を捉えるのは難しいしリスクも高いので、大抵は「調整の雲の底」から反発して底堅いことを確認したところで買いに入ります。先程の図の中で「IN」と書かかれているところがそうです。だいたい「調整の雲の底」から3%程度反発したところが買いポイントです。

その後、10週移動平均をサポートとしてブレイクに向けて株価は上昇していきますので、その後は10週移動平均をキープするかしないかが重要なポイントとなります。10週移動平均のサポートがしっかり機能していると判断した場合は、調整の雲の中で買い増しもしていきます。

従って、損切りは「調整の雲」を割るか、「10週移動平均」を割ったところが判断基準となります。

CAN-SLIMでは8%を損切り基準としてますが、それはピボットポイントを買いの基準とした考え方です。より下で捉える私の方法では、よりシビアな基準となってしまい、損切りが増えてしまうリスクもありますが、今のところ「調整の雲」を跨いで株価が調整をするということは発生していません。

従って「10週移動平均」は目安程度で、株価の勢いを見て損切りするかどうかを見ています。最終的なデッドラインは「調整の雲の最下限」ということにしており、ここを切ったら強制退場です。

損切りは重要だと思っていますが、それよりも大事なのは損切りするような株を買わないことです。そのための判断基準が「調整の雲」と「10週移動平均線」になります。

ダメな「取っ手付きカップ」の事例

次に恥ずかしながらもチャート分析に失敗した事例を載せておこうと思います。今見るとアホ以外のなんでもない分析です。。。

この三つのパターンはどれも損切りで終わっています。

まず全体的にいえることですが、全体のトレンドが下落の時に取っ手付きカップを形成してもまったく意味がないということです。

左のチャート、それから真ん中のチャートは10週移動平均線が下降の一途で明らかに下降トレンドです。このタイミングで形成された取っ手付きカップはまだまだ本格的な上昇を見せるには早計であることを物語っています。

一番右のチャートは取っ手を形成しましたが、取っ手形成後の振い落しが10週移動平均を遥かに下回ったところまで下がっています。10週移動平均も下降トレンドになっていますね。また、「調整の雲」の下限が10週移動平均から下方に離れすぎています。

いずれの銘柄も多少の反発は見せましたが、それでパワーを失い失速してしまいました。

ご覧のように「取っ手付きカップ」はどのような局面でも描けてしまうものです。しかし、正しい流れの中で分析しないと、まったく意味のないものになります。「取っ手付きカップ」を描いてうまくいかない人は、「取っ手付きカップ」自体が悪いのではなく、分析の仕方がうまくいっていないということだと思います。

何度も何度も分析をして、結果がどうなったのか。なにが良くて、なにが悪かったのか。しっかりと確認しながら活用してほしいと思います。

まとめ

最後にこれまで述べた「取っ手付きカップ」について、ポイントをまとめてみました。

 1.「取っ手付きカップ」を使いこなすには数々の分析経験をもとにした「勘」が大事
 2.カップの形成は上場来高値もしくは年初来高値をつけたところからスタートする
 3.カップの形成は4週間~50週間かかる
 4.カップの底値はカップ上端の株価から30%下落まで
 5.取っ手形成となる「ピボットポイント」はカップ形成時の株価より低い位置になる
 6.「ピボットポイント」はカップ上端と底値の上半分でかつ10週移動平均より上になる
 7.取っ手形成中は「振い落し」と「調整の雲」が発生する
 8.「振い落し」は上値と下値が切り下がっていく
 9.「調整の雲」からブレイクする時は10週移動平均をサポートとして上昇していく
10.「ピボットポイント」のブレイク時は出来高が上昇して陽線になる
11.ブレイク後は2週間様子を見る
12.ブレイク後に調整に入った場合「ピボットポイント」を割らないことを確認する
13.「取っ手付きカップ」は下降トレンドでは機能しない
14.「調整の雲の底」から3%程度反発したところが買いポイント
15.損切りは「調整の雲」を割るか、「10週移動平均」を割ったところが判断基準

何事も「理屈より実践」、「論より証拠」です。

みなさんがこの記事を参考にして自分なりの「取っ手付きカップ」の分析手法を確立してもらえば幸いです。

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