目次
はじめに
CAN-SLIM投資においては7つの上昇銘柄を見つけるルールがあり、それぞれの頭文字をとって「CAN-SLIM」という名前をつけています。
その中で最後の項目であるM(株式市場の方向)は他の6つ全ての条件が揃ったとしてもこの条件が満たされていなければ投資してはいけないと言われるほど重要な項目です。
Mの項目は他の項目に比べても内容が多岐に渡っており、一つの記事にまとめるのは難しかったのでテーマに分けて記事にすることにしました。
この記事ではマーケットの転換を示す様々なサインについて述べていきます。
相場のサイクルを意識する
相場は常に上下を繰り返しています。これを大きな視点で見ると「上昇トレンド」と「下降トレンド」になります。チャートは1分足から年足まで様々な時間軸で表すことができますね。これらを見るとどの時間軸でも必ず一定時間株価が上昇を繰り返す「上昇トレンド」と一定時間下落を繰り返す「下降トレンド」が交互にくる「サイクル」が形成されています。
オニールはこの中でも長いスパンで見られる大きな流れを捉えることの重要性を述べています。当然ですが、上昇トレンドには買いポジションを多く持ち、下降トレンドには売りポジションを持つことでより安全に資産を増やすことができます。
同じく「M」の項目を説明した記事、
の中で、オニールは年単位で見た時の流れが上昇トレンドに入った最初の2年間が最大の儲け時であると述べています。この時は、恐らく何を買っても上昇する「フィーバー」状態になっています。
後段に掲載している日経平均の月足チャートを見ると、2013年3月からの上昇トレンドは2015年4月くらいまで一直線に上昇してますね。ちょうど2年程の間、流れは続いていたのです。
ここから投資を始めて訳も分からずあれよあれよと大きく儲けることができた人も多かったと思います。このように投資では個別銘柄のファンダメンタル分析やテクニカル分析云々よりもまずは相場の流れ=サイクルを捉えることが最も大事だというのがオニールの考え方です。
強気相場も弱気相場も、そう簡単には終わらない。通常は、2~3回ほど予測しづらい動きをしながら株価が上下し、わずかに市場に残っていた投機家をダマシたり、振い落していくのだ。そのような激しい動きに耐えきれない投資家が全員降参のタオルを投げ入れると、市場の一方的な下落や上昇を後押しする投資家がすべて市場から退場したことになる。そこでマーケットはようやく方向転換をし、まったく新しいトレンドを形成し始めるのだ。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
「売ったソコが底だった」という格言?をよく聞きますが、マーケットの転換点では心理的に極限の状態になるのかもしれないですね。人が望んでいるのとは逆に動いていく。そんな時はトレンド転換を試している最中なのかもしれません。
こういう時、長期スパンで相場のサイクルを見ることは大事だと思います。全体の中で今どのような状況なのかを大局的にみることで、相場転換点の「だまし」の動きに惑わされないことが重要です。
弱気相場の終わりは、通常、景気がまだ下向きのときにやってくる。その理由は、株式が将来の経済事象、政局、世界での出来事などを何カ月も前からすべて「織り込む」、つまり予測しているからだ。アメリカの数ある主要な経済指標のなかでも株式市場は常にほかの指標を先導して経済を牽引している。(中略)同様に、強気相場は通常、不景気が始まる前に天井を打って下向きに転じる。この理由から、景気を反映する経済指標を見て株の売買の時期を決めるのは、実はお粗末なやり方でお勧めできない。
ウィリアム・J・オニール 「オニールの成長株発掘法第4版」より
これについてはちょっと毒を吐きますが、世の中のニュースソースは常に間違った情報を流しているなと思ってしまいます。まぁ、記事にするためには株価が上下したことに対してなんらかの理由を考えないとニュース価値として認められないという事情があるとは思うのですが。目についた出来事をさも株価動向の理由として扱うことは完全にミスリードしているとしか思えません。
話がそれてしまいましたが、大事な点は相場のサイクルはどの指標よりも常に先行しているということです。よく経済指標が発表されることで株価が動くことがありますが、ややイレギュラーな動きをしたのちに元の流れに戻ってくることが大半です。
ここまで相場のサイクルについて見てきました。
CAN-SLIMは順張りの投資手法です。従って相場のサイクルを意識して正確に読み取り、「上昇トレンド」時は買いポジション、「下降トレンド」時は売りポジションをとることで最大限の効果を発揮することができます。
個別銘柄だけではなく、市場全体の流れをしっかりと掴むことが大事です。
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