コラム 投資分析

好決算で下落?悪決算で上昇?決算後の株の動きを読む その1 UUUM【3990】

投稿日:2019年5月5日 更新日:

はじめに

 決算は四半期に一度必ず来るイベントで、そのたびに大きな株価のトレンドが形成されることがあります。非常に重要なイベントではあるのですが、決算をまたいで株を保持するのは非常にリスクを伴います。というのも好決算でも株価は大幅に下落することがあるからです。

 好決算なのに織り込み済みで売られ、悪決算でも材料出尽くしで買われることが多々あります。こういった動きはなぜ起こるのでしょうか?また、事前に把握することはできないもんでしょうか?

 今回、はからずもウォッチしている銘柄で対照的な動き方をしたものがあります。好決算なのに下落したUUUM【3990】、進捗率は冴えないのに上昇したチームスピリット【4397】です。

 これら二つの銘柄のチャートを見ていくと、ヒントとなる動きが隠されているように思えます。まだまだ事例の研究は必要なものの、仮説のひとつとして紹介しておきます。

 今回はUUUM【3990】です。

UUUMの決算とその後の動きのナゾ

まずは好決算なのに下落したUUUMの動きを確認しておきましょう。

チャートと決算の関係は以下の通りです。

UUUM【3990】チャートと決算推移

図の中で、赤い▲マークがあるところが決算発表のタイミングとその内容になります。青い▲マークは株式分割があった日を示しています。

どの決算も素晴らしい内容です。ですが、決算に対する反応は全く違います。

 2019年4月12日の決算後、株価は大きく下落しました。これに対してモーニングスターが供給したニュースを見ると、「通期予想据え置きに失望した」と書いています。ですが、2018年10月12日の決算も据え置きでしたが、すぐには下落しませんでした。同じ事象なのに結果が違うのはなぜでしょうか?

 さらにいうと上方修正をした2018年4月13日、2018年7月13日、2019年1月11日で動きが全く違います。最も経常利益の修正率が高かったのは2018年4月13日だったのですが株価は下落しています。しかし2018年7月13日は明らかに上昇トレンドに転換しています。そして2019年1月11日の後は急騰しています。

 ニュースの記事は後付けで何とでも言えますからね。それにしても上記の全く動きの違う状況を見れば本質をついていない内容の記事です。この辺にニュースはあてにならない理由があります。

ちょっと話が横にそれました。。

では、この決算後の動きはどう読めばいいのでしょうか?

 今回のUUUMの決算分析でひとつの仮説を立てることができました。

 以下に分析の内容とそこから考えられる結論についてご紹介します。

2018年4月13日決算前の動き

 2018年2月から2018年4月13日の決算までの株価と出来高の動きです。

 この時期のUUUMはIPO後の売買をこなして調整期に入っていました。チャートを観察すると株価が上下する中で陰線が発生する時には比較的大きな出来高を伴っていました。決算5日前にも比較的大きな下落が発生しています。陽線もあるのですが必ず陰線が出て上昇を打ち消すような動きです。2月より以前は株価が沈んでいたこともあり、この決算前の局面では利益確定の動きが発生していました。決算直後にも利益確定の動きが見て取れます。その後株価は下落の方向となりました。

2018年7月13日決算前の動き

 2018年4月13日の決算から7月13日の決算までの株価と出来高の動きです。

 この時期の株価と出来高は前回の決算前後で利益確定をした後で調整局面に入っていました。株価も出来高も低い状態が続いています。そんな中で突然出来高をつけて陽線をつけた後に出来高を下げながら株価も下げる「振い落し」の動きが3回続けて発生しています。この時期には大口の買い集めが発生していたと考えられます。決算前には不可解な下落が発生していますが、出来高の急増と大陽線を付けて、本格的な上昇過程へと入っていきました。

2018年10月12日決算前の動き

 2018年7月13日の決算から10月12日の決算までの株価と出来高の動きです。

 7月13日の決算以降は本格的な上昇トレンドを描いていましたが、決算直前に出来高を増やしながら陰線を形成する利益確定の動きが発生しました。決算ではこの流れが継続し、決算直後にも利益確定の動きがみられます。その後株価は緩やかに下落を始め利確のスピードを速めています。

2019年1月11日決算前の動き

 2018年10月12日の決算から2019年1月11日の決算までの株価と出来高の動きです。

 前回の決算のあと、利益確定の流れを消化して再び株価の動きが少なく、出来高の低い調整期間と振い落しの期間が発生しています。決算の直前にも振い落しが発生しています。そのまま決算を迎え、大きな出来高を伴って株価は急上昇しました。しかし、すぐに利益確定の動きがでてきています。調整期間中に出来高が十分に下がりきっていないことから売りの圧力が十分に下がっていなかったと思います。

2019年4月12日決算前の動き

 2019年1月11日の決算から4月12日の決算までの株価と出来高の動きです。

 前回の決算で急騰した株価ですが,4週間後には早くも利益確定の動きがでてきています。今回は出来高も大きく複数回に渡って陰線が発生しており、かなり大きく売られたようです。その後の出来高の低さからしても大口は撤退したように思われます。そんなこともあり、4月12日の決算後は個人の買いのみとなったようです。買いの勢いは戻らず、好決算の割りに上がらない株価をみて「織り込み済み」と判断され、ズルズルと値を落としていっています。

分析から考えられること

 皆さんもお気づきだと思いますが今回の分析から考えられることとして、

■決算前に利益確定の動きがあると決算後に下げる公算が高い。

ということです。また、

■決算前に出来高も株価推移も低い調整の期間になると上昇する可能性が高い

ということがいえそうです。ただし、上昇する可能性は好決算のみでしか確認していないので、いつでもそうとは言えません。

 チャートの形を見ていても、決算後急騰する時は決算前の株価も出来高も大人しい感じですが、下落する時は出来高も株価も上下動が激しくなっています。

 また決算後の上昇、下落のスピードや幅の違いですが、調整期間の長さや買い集めの度合い、利益確定の度合いが影響していると思われます。より静かに買い集めが進行した時は売りの圧力が相当下がっているため大きく上昇トレンドを形成し、逆に利益確定が大きく発生した場合は買い支えのパワーを失っているため決算後の下落のスピードも速くなると思われます。

最後に

 いかがでしたでしょうか?

 最近、決算絡みで購入した銘柄は例外なく上昇していたのですが、CAN-SLIMの考え方でいくと出来高の低い振い落しを形成している銘柄を選ぶので、いずれも上昇した。とも考えられなくはないなと思いました。

 今回、全体の流れからひとつひとつ決算前後の動きを分析すると、特徴が見えてきたように思います。この仮説が他の事例でも同様の動きを見せることが証明できれば、決算で暴落することを避けたり、逆に上昇トレンドの始まりを捉えられることにつながると思っています。

もう一つの事例、良くない決算でも上昇したチームスピリットはこちらの記事をご覧下さい。

好決算で下落?悪決算で上昇?決算後の株の動きを読む その2 チームスピリット【4397】

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