目次
はじめに
オニールのCAN-SLIM投資法において「M」の要素では市場の流れに乗ることが重要だと述べています。しかし、市場がいまどちらの方向に進んでいるかを判断するのは相場のプロでもなかなか当てることのできない難しい課題です。
しかし、オニールはまた「過去は繰り返す」とも述べています。オニールのCAN-SLIM法が過去に大化けした銘柄を徹底的に分析したうえで未来永劫市場での不変の法則として世に知らしめたことを考えれば、市場の動きにしてもまた然りといえるのではないでしょうか。
そこで、ここでは過去の日記でも断片的に取り上げていた市場の動き、特に中心的なNYダウと日経平均に絞って、それぞれの市場の特性や2つの市場に共通する要素を絡めることで今後の市場の流れに関するシナリオを考えてみたいと思います。
まずは今後を占う上で指標となる5つのアノマリーの要素をご紹介し、それらをつなぎ合わせたらどのようなシナリオが組めるか示していきたいと思います。
要素1・消費増税前後の日経平均推移
消費税の導入、およびその後の増税局面は4回しかありませんが、以下のような結果となっています。
消費増税の局面においては、当月から翌月にかけて上昇局面、翌月に限っていえば必ず上昇していますね。市場は常に消費増税のマイナスの影響については事前に織り込むということでしょうか。
現に今の相場は2018年10月に2019年10月の消費増税の正式導入を発表してからずっと下げ続け、2019年9月後半から上昇の気配を見せています。
要素2・大統領選挙とNYダウの関係
2020年は大統領選挙の年です。ここではNYダウの推移を大統領選挙にフォーカスして見てみます。大統領選挙は4年ごとですので、1928年からの年間騰落率を4年ごとにまとめてみました。
赤は下落した年、濃い赤に反転文字は2年連続で下落したことを表してます。
見ていただくと大統領選の前年の上昇確率が突出して高いことがわかります。やはり選挙を意識して経済政策を優先していることが伺えます。大統領選挙年が次に高く、やはり選挙年の次の年が低くなりました。
もうひとつわかることがありますが、NYダウが2年連続で下落することはかなり稀なことだということです。過去90年間で4回しか発生していませんね。これもアノマリーのひとつと言えそうです。
今年はここまで+16.30%で推移しています。今回の大統領選前年のアノマリーは達成しそうな勢いです。
要素3・逆イールドからの市場の動き
「逆イールド」は今年久々に発生したことで注目されました。設備投資の滞りを示し、リセッション(景気後退)のサインと捉えられています。当然市場にとってはマイナスなんですが、過去の動向を見ると別の側面も見えてきます。
過去の逆イールドに関するグラフをブルームバーグサイトより引用しています。
ここで逆イールド発生(オレンジの矢印)以降の株価の動きをみると、株価は実際に景気後退に陥るまでは約20~30%近く上昇しています。(グリーンの矢印)また、逆イールド発生から景気後退に陥るまでの期間は1年半~2年半程度となっています。
2019年の3月に逆イールドが発生しましたが株価はまだまだ上昇局面であり景気後退は2020年末~2021年中に発生する可能性が高そうです。
要素4・NYダウと日経平均の関係
NYダウと日経平均の関係ですが、以下にNYダウと日経平均の騰落率を比較したグラフを表示しています。
NYダウと日経平均は外国人投資家の比率が上昇してくる2000年付近から指数が連動して動くようになってきました。リーマンショック後の2008年頃からその流れが一段と強くなっています。
このグラフを見るとNYダウは比較的指数の動きが緩やかなのに対して日経平均の動きはだいぶ上下動が激しくなっています。これはやはり市場規模や市場参加者の数にもよるのだと思いますが、よりNYダウは安定した動きをしているといえそうです。
その中でNYダウと日経平均の騰落率が乖離する場面がいくつか見えます。NYダウに対して日経平均が上下にブレますが、最終的にはNYダウに寄せていっていることがわかります。
最近の傾向を見ると乖離した場合には1年半~2年程度のスパンでNYダウに寄せていってます。
現在、日経平均は2018年10月の消費増税正式決定から2018年末のクリスマスショックにかけて騰落率を下げてから横這いの状態です。クリスマスショックから立ち直って史上最高値をつけたNYダウから下方に乖離しています。
このままいくと時期的には2020年の半ばから2020年末にかけてNYダウに寄せていくことが予想されます。
要素5・月毎の日経平均の成績
月毎の日経平均の騰落額を加算していったグラフを以下に表示してます。期間は外国人投資家の影響が増えてきた2000年~2018年です。
グラフの下に表示しているパーセントは19年間で月の騰落がプラスになった確率を表してます。以前、セルインメイのアノマリーを検証するために作ったグラフですが、1年間の全体の相場の流れがこれで確認できますね。
これを見ると3月および11月に上昇のピークが来ていることがわかります。海外のヘッジファンド等の決済時期などが複雑に絡み合ってこのような結果がでているようです。
新興市場も分析してましたが、大きな流れに違いはない結果でした。1年間の日経平均の動きはこの流れをベースに考えるといいようです。
セルインメイの記事は以下を参照してください。
投資アノマリーを活用して確実に資産を増やす! -セルインメイを徹底検証!-
全ての要素から見えるこれからのシナリオは?
以上、今後の市場の流れを占うアノマリーを個別に示しましたが、これらから考えられる今後のシナリオについて予想してみます。
まず2019年10月以降ですが、消費増税前後の日経平均の推移(要素1)で見たように相場は上昇する流れになることと、月毎の騰落率(要素5)で見たように11月は上昇の特異月であることを考えると年末に向けて上昇の流れに間違いはないようです。市場下落のリスクですが、下落に大きく影響するNYダウの動きは大統領選挙とNYダウの関係(要素2)で見たように大統領選前年だけに大きく崩れることはなく、逆イールドからの市場の動き(要素3)を見ても下落の心配はなさそうです。
年明け後には月毎の騰落率(要素5)の流れもあり上昇後の利益確定などが発生しそうですが、3月に向けては上昇の兆しを見せそうです。市場全体の流れとしてはNYダウが大統領選挙とNYダウの関係(要素2)や逆イールドからの市場の動き(要素3)を考慮すると堅調な動きと考えられ、NYダウと日経平均の関係(要素4)から堅調なNYダウに日経平均が寄せていくことが考えられます。仮にNYダウが堅調に推移した場合、NYダウから乖離した騰落率から考えると日経平均は25,000円を越える水準まで上がりそうな気配です。
その後、2020年11月の大統領選終了後からは一気に怪しげな気配になりそうです。いよいよリセッションの動き(要素3)が見え始め、その頃にはNYダウとの乖離を埋めた日経平均(要素4)もNYダウと同様に下落の歩調を合わせそうです。月毎の騰落率を見ても日経平均は11月以降、下落を始めて4月頃には一旦持ち直すも2021年5月頃からは暴落する流れもありそうです。
最後に
いかがでしょうか?
日記などで何度か振れているアノマリーにいくつかの要素を加えて今後の市場のシナリオを描いてみました。
複雑な経済指標の分析は使わず、素人投資家が一般的に手に入る過去の統計や流れに従ったのみの分析ですが、過去の事例を参考にいくつかの要素を組み合わせるとなんとなく流れが見えてくるような気がしています。
先々の予想は別として、直近2019年末までの市場の流れはシナリオ通りの想定で投資には臨む予定でいます。
今後、この流れが本物かどうかは市場を眺めながら徐々に検証して、流れが間違っている場合は修正しながら望んでいきたいと思います。
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