CAN-SLIM投資法を利用して実際に投資を行なっている事例を紹介します。
今回はハイアス・アンド・カンパニー【6192】です。
CAN-SLIM投資法に関連する注目ワードは強調して表示していますので参考にしてください。
目次
ファンダメンタル分析
住宅に関連したコンサルティングを展開するハイアス・アンド・カンパニー。住宅業界は人口減問題や空き家問題など、業界としての先行きには不安な要素が満載です。しかし、業界の体質自体が非常に古く、改善の余地が非常にあることがビジネスチャンスとして魅力的なところだと思います。
おりしも今はオリンピックや万博を契機とした民泊などのインバウンド需要が高まっており、いかに住宅問題を絡めていくかが国策として重要であり、非常に関心を持っておりました。ハイアス・アンド・カンパニーはそんな業界の在り方を改革し、新たなビジネスを創出する可能性を秘めた会社であると期待しています。
ハイアス・アンド・カンパニーのビジネスは既存の住宅建設業者などにノウハウを提供することでライセンスフィーやコンサルフィーを得る形です。自前で家を建てているわけではないので、成長性を持続するためには、会員会社を増やすことと会員会社の売上を上げることが必要となります。逆にいうと、自社の組織を増大させなくても売り上げ、利益を伸ばすことができる。成長を爆発的に加速させるためのポイントはそこにあります。ただ爆発的に成長させるためには魅力的な商材や革新的な技術を常に供給する能力が問われます。また、建築だけに限らず空き家問題に見られるような相続問題や空き家活用などのノウハウも必要です。
ハイアス・アンド・カンパニーはこういったソリューションについて実に効率的にビジネス開発していると感じます。会員会社もライセンス供給にとどまらず、ともに新たなビジネス開発を行い、それを別の会員会社に提供するなど、WinWinの関係を築いています。
昨年の6月より民泊新法が施行され民間住宅の活用が注目されていますが、ハイアス・アンド・カンパニーは楽天LIFULL STAY株式会社(以下楽天LS社)と連携して民泊施設の提供に乗り出しています。この楽天LS社ですが、運営する「Vacation STAY」が19年4月より世界最大級の宿泊施設比較サイト「trivago」での比較・検索が可能となりました。国内はもとより海外の利用者の需要も取り込むことができるようになりました。
楽天LIFULL STAY、宿泊施設比較サイトのtrivagoへ民泊施設の掲載を開始
この「Vacation STAY」は国内の民泊仲介サイトとして利便性に優れており、Airbnbに登録数が肉薄しています。
楽天の民泊仲介サイト、民泊掲載数が2,200件突破 楽天トラベルとの連携でAirbnbを猛追
こうした会社との連携を強化していくことは、先程の会員会社の増加や会員会社の売上増に多大な効果があります。結果的にハイアス・アンド・カンパニーの成長性持続にも貢献するものと考えています。
業績について以下にまとめました。わかりやすくするため決算予想数値として発表されている最終年度の数字を100%として、年度ごとの割合を表示しています。
売上・利益とも右肩上がりです。売り上げはほぼ年率20%以上の成長を維持。一株利益については、17年度に若干のマイナス成長となっていますが、その後は順調に業績を伸ばしています。
最終年度には大きく業績を伸ばす予測を立てていますが、これの達成とともにインバウンドの先行需要を捉えた業績の伸びが今後見込めていけると、成長性はより加速していくと考えていますので、今後の決算発表を十分注意して見ていきたいと思います。
ファンダメンタル要素についてはROEが18.6%、ROAが7.90%です。ROAが低いのは有利子負債が多いことが原因ですが、業績に影響を与えるほどではありません。時価総額は74億円とまだまだ低い状況。今後も十分成長していく余力があると考えます。
チャート分析【2018/6/11-2019/6/14】
チャートですが、流れに沿って解説します。
- 2018年1月に上場来高値をピークに株価は下落局面に入りました。
- 2018年中はずっと下落トレンドとなっていましたが、2018年12月に出来高を上げて反発し、その後底入れしました。
- そこから調整期間に入っておりましたが、4月中旬に取っ手を形成しています。3月初旬にも一度上昇しており、ここで取っ手形成に入ったと判断してもよかったかもしれません。
- 2週間前にピボットポイントをブレイクしていますが、出来高があまりあがっていなかったことと、決算前ということもあり、投資は見送りました。
- 先週は決算を受けて下落しましたが、ちょうどピボットポイントである307円で引けています。出来高は上げてますが、下落の局面では出来高を減らしていました。今週の初値がどうなるかでインを検討したいと思います。
レラティブストレングスの検討
株価が市場に対してどれだけ強い動きを見せているかをレラティブストレングスと定義しています。ここでは1年前(上場して1年未満の場合は上場時)の株価を0としてそこからの変化率を算出してグラフにしています。同様に算出した上場されている市場の指標と比較する事で選択した銘柄が市場のパフォーマンスより強い動きを見せているかどうかを確認します。
市場と歩調を合わせるように下落しておりましたが、18年末のクリスマスショックの下落から反転した市場に合わせるようにトレンドを転換しました。その後は市場が調整に入ってきても順調に上昇しています。市場のトレンドに逆らって上昇するエネルギーが戻ってきたと思います。
信用買残と株価の関係について
今回は売残も掲載しています。注意しなければいけないのは貸借倍率ですが、35倍以上ですので、売残の効果はそれほど影響ないということをご承知おきください。
株価の下落局面で一時的に買残が増えていますが、恐らく割安と判断した投資家の買いが入っていたようです。思惑に反して下落トレンドは継続し、クリスマスショックで多くの投資家が損切りに走ったようです。買い残が急激に減っています。その後横這いでしたが、最近さらに買い残が減っています。売り圧力が増していましたが、株価は上昇トレンドを継続しています。現在はピーク時から買い残が半分になっています。
一方で売り残ですが、年始から徐々に増えてきていますが、株価は上昇している状況です。最近は売残が下落傾向になっています。株価は上昇基調となってきていますので、売残の減少は今後株価上昇の材料になりそうです。
今回は以上の考え方でハイアス・アンド・カンパニーへの投資を実施したいと思います。ブレイクした後の調整の底と考えての判断です。
予想に反して下落した場合は、8%で損切りする予定です。
CAN-SLIM投資とは?
CAN-SLIM投資の各要素の考え方については以下の記事を参考にして頂ければと思います。
1.「CAN-SLIM」のC(Current Quarterly Earnings) -直近四半期利益-
2.「CAN-SLIM」のA(Annual Earnings Increases) -年間利益の増加-
3.「CAN-SLIM」のN(New Products,New Management,New Highs) -新製品、新経営者、新高値-
4.「CAN-SLIM」のS(Supply and Demand) -株式の需要と供給-
5.「CAN-SLIM」のL(Leader or Laggard) -主導株か停滞株か-